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Item nameとは
―類別の出発点:「品目名」とINCが定義するアイデンティティ
1. 類別作業は「品目名」から始まる
NATOカタログ制度(NCS)における類別作業の最初のステップは、品目にふさわしい「品目名(Item Name)」を割り当てることから始まります。
品目名は、その製品が「何であるか」を定義する入り口であり、以降のすべての工程──分類、技術特性の回答(MRC)、さらにはNATO品目番号(NSN)の設定──へとつながる基礎になります。
ACodP-1では、品目名を次のように定義しています。
「補給品(Item of Supply)の識別における最初の基本要素であり、品目または関連する品目群の基本的な概念を確立するために選定・限定されるもの」
つまり、品目名とはその製品の「タイトル」にあたるものです。
書籍で言えば題名のようなもので、正しく設定されていなければ、後続の内容(特性や分類)がすべてズレてしまうことになります。
一見単純に見える「品目名の決定」ですが、その選定は極めて重要であり、誤ると最終的な識別精度に大きく影響します。
2. 品目名コード(INC)とは何か
各品目名には、データ処理や自動化を容易にするため、5桁の品目名コード(Item Name Code:INC)が付与されます。
このINCは、NCS全体で共通の識別子として扱われ、国や機関を超えて同一の品目名を一意に管理するための基盤となります。
ACodP-1では、品目名の種類を以下のように区分しています。
- ・Approved Item Name(指定品目名):実際の供給品を定義する正式な名称
- ・Basic Name(基本名):修飾語を含まない、品目の一般的概念を示す名称
- ・Colloquial Name(通称名):一般的な呼び方や略称(例:「レンチ」「スパナ」など)
このうち類別作業に使用できるのは指定品目名のみです。
基本名や通称名は補助的に参照されることはあっても、正式な識別には使えません。
3. 品目名が分類とMRCを決定する
品目名を決定すると、次に行われるのが分類(NATO Supply Classification, NSC)とMRC(Master Requirement Code)への回答です。
実は、これらの作業は独立しているようでいて、品目名とINCの選定によって方向性が大きく左右されます。
各INCには、対応するItem Identification Guide(IIG)が存在し、そこには「どのMRC(技術特性)」に回答する必要があるかが定義されています。
つまり、INCが確定すれば、回答すべき特性項目が自動的に決まり、入力すべきデータの範囲が明確になります。
逆に、INCの選定を誤れば、回答するMRCそのものが誤り、結果的にNSN全体の正確性が損なわれることになります。
また、品目名が分類の出発点であることも重要です。
NATO品目番号(NSN)の先頭4桁を構成する分類は、品目名によって属するカテゴリが決定されます。
たとえば、同じ「バルブ」でも用途や構造の違いによって異なる分類が割り当てられるため、品目名の設定が分類の正確性を左右します。
4. 正しい品目名がもたらす信頼性
NCSの目的は、各国が持つ調達データを共通の基準で管理し、相互運用を実現することにあります。
そのため、最初の段階で「どのように品目を定義するか」は、システム全体の信頼性を決定づける重要な要素です。
類別担当者の仕事は、単にデータを入力することではなく、品目の本質を理解し、それを国際的に通用する形式で表現していることなのです。
正しい品目名を選定することは、その製品の技術的・機能的特性を正確に把握し、適切な分類へ導く知的作業といえます。
品目名とINCの設定は、NCSのなかで最も地味でありながら、最も影響の大きい工程のひとつです。
ここでの判断が、その後のすべてのデータ品質──分類、MRC回答、そして最終的なNSNの信頼性──を左右します。いわば、「正しい題名が良い本を作る」のと同じように、正しい品目名が正しい類別を生み出すのです。
5. まとめ
品目名とINCは、NATOカタログ制度における類別の「出発点」であり、「アイデンティティ」を決定する要素です。
ここを正しく設定することは、後続の工程を正確に導く羅針盤であり、最終的なデータ品質を担保する第一歩です。
適切な品目名を割り当てること──それこそが、類別作業の核心であり、すべての始まりと言えるでしょう。
本コラムの著作権は、一般社団法人日本類別協会に帰属します。無断転載・複製を固く禁じます。
YOUSUKE HATTORI
About Me
1985年東京都生まれ。一般社団法人日本類別協会代表理事。学生時代よりMILスペックをはじめとする規格分野に関わり、長年にわたり知見を積み重ねてきた。防衛装備庁へのNATOカタログ制度導入や2020年のTier2昇格に携わり、その後の本格運用を支援している。環太平洋NATOカタログ制度セミナーなど国際会議にも出席し、日本の同分野における国際的な連携と発展のため尽力している。