Column
Category
- I.NCSを知る
- 制度の基礎と仕組みを学ぶ - NCSとは何か? (4)
- NSNとNCAGEの基本 (1)
- STANAG (3150~) の役割 (0)
- 日本の制度との関係性 (1)
- II.NCSの最新動向
- 国際ルールと制度のいま - III.実務と事例で学ぶ
- NCS活用の現場から - NMCRLを使った市場調査 (0)
- 協会支援の活用事例 (1)
- 輸出関連の手続きサポート例 (0)
- IV.用語と制度のポイント解説
- Codification Contract Clauseとは? (0)
- NCAGE取得の注意点とFAQ (0)
- 用語解説 (5)
- V.これからのNCS
- 技術と制度の未来 - VI.Voices from Our Colleagues
- 世界の専門家たちに学ぶ
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SAM登録の基礎ガイド
―米国政府調達の入り口
目次
1. SAMとは何か ― 米国政府調達のゲートウェイ
「SAM(System for Award Management)」は、米国政府や米軍と取引するための公式オンラインシステムです。
日本企業が米国防総省や連邦政府の入札案件に参加する際、SAM登録は必須条件となります。
SAMに登録されていない企業は、入札に応募することも、契約を結ぶことも、さらには代金を受け取ることもできません。まさに米国政府調達の入り口であり、登録なしに取引を始めることはできないのです。
2. なぜSAMが必要なのか
米国は膨大な調達を日々行っており、その規模は数十兆円規模に上ります。防衛装備品のような専門的なものだけでなく、日用品や事務用品、建設工事や役務サービスに至るまで幅広く調達対象に含まれます。
こうした案件に参加するために、企業はまずSAMに登録して「公式サプライヤー」として認められる必要があります。
登録済み企業には「UEI(Unique Entity Identifier)」が付与され、これが米国政府との取引における「企業の身分証明」として機能します。
3. 登録に必要な準備
SAM登録には、いくつか事前に用意しておくべき情報があります。代表的なものは以下の通りです。
- ・NCAGEコード:NATOが発行する企業識別コード。世界的に一意に企業を特定するために必要。
- ・企業情報:登記住所、法人番号、連絡先、財務状況など。
- ・お支払いに関する情報:米国政府からの支払いを受けるため。
- ・英語での入力対応:システムはすべて英語表記。
登録は無料ですが、入力ミスや情報の不一致によって手続きが滞るケースも少なくありません。
4. 登録の流れと注意点
大まかな流れは以下の通りです。
- 1.NCAGEコードを準備
- 2.提出書類を準備、UEIの取得
- 3.登録情報の準備
- 4.SAMアカウント取得
- 5.ログインアカウントの作成と設定
- 6.組織管理者の承認

審査には数週間〜1か月ほどかかる場合があります。英語表記の住所入力は戸惑う企業も多いため、専門的なサポートを受けることで手続きをスムーズに進められます。
※本手続きの流れは、当協会における手続きの一例です。個人または他機関での手続きについては、手順や要件が異なる場合がございますのでご留意ください。
5. SAM登録後に広がるビジネスチャンス
登録が完了すれば、米国政府や在日米軍基地の入札案件にアクセスできるようになります。
- ・米国防総省の大規模調達案件
- ・在日米軍基地の日用品・サービス調達案件
- ・連邦政府機関の建設・役務契約
さらに、契約成立後は米国政府から直接支払いを受けることが可能です。これは、日本国内取引とは異なる形で得られる、大きな実績として国際的な信頼を得ることにも繋がります。
6. 登録作業は協会の支援を活用が便利
「入門ガイド」として概要を紹介しましたが、実際の登録作業は細かい情報入力や英文書類の準備が必要で、初めての企業にとってはハードルが高く感じられるかもしれません。
当協会では、
- ・SAM登録支援(入力サポート・必要書類の準備)
- ・NCAGEコードの取得支援
- ・申請エラー発生時の対応アドバイス
といったサービスを提供しています。
「米国政府調達に挑戦したい」と考える企業にとって、最初の一歩をスムーズに踏み出すための伴走役となります。
まとめ
SAM登録は、米国政府・在日米軍基地との取引を始めるための絶対条件です。
登録そのものは無料で誰でも挑戦できますが、準備や入力に戸惑う企業も少なくありません。
だからこそ、本稿で概要を理解し、実務は専門機関にサポートを依頼するというアプローチが、最も効率的で安心な方法とされております。
米国政府調達という巨大な市場への扉は、SAM登録から始まります。今後の成長戦略の一環として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
本コラムの著作権は、一般社団法人日本類別協会に帰属します。無断転載・複製を固く禁じます。
YOUSUKE HATTORI
About Me
1985年東京都生まれ。一般社団法人日本類別協会代表理事。学生時代よりMILスペックをはじめとする規格分野に関わり、長年にわたり知見を積み重ねてきた。防衛装備庁へのNATOカタログ制度導入や2020年のTier2昇格に携わり、その後の本格運用を支援している。環太平洋NATOカタログ制度セミナーなど国際会議にも出席し、日本の同分野における国際的な連携と発展のため尽力している。